『育休もらい逃げ』は合法? 給付金と失業保険で総額300万も?
『育休もらい逃げ』。
そんな言葉があるのも知らなかった私…
給付金を受け取り復帰せずに退職するこの行為は、年収400万円なら総額300万円ものメリットがあるため、ネット上で賛否両論を呼んでいます。
批判がある一方、労働者の権利という意見も根強いですね。
そもそも、「育休もらい逃げ」は違法なのか?
結論からいうと、違法ではないんです。
本記事では、制度の仕組みから金額の内訳、知っておくべき裏ワザまで徹底解説します。
『育休もらい逃げ』は合法?
「育休もらい逃げ」という言葉が、ネット上やビジネス現場で注目を集めています。
【育休】
「「育休もらい逃げ」は制度の悪用? 職場復帰しないで退職する女性に罵詈雑言「これから育休取りたい人たちに大迷惑」」の記事が話題に。制度に問題があるのであれば、制度を直すしかないのでしょうね。
利用者のモラルに委ねるのは、本件に限らず無理があるかと。※資料は厚労省 pic.twitter.com/tEfdMIEJ76
— 小池理人/エコノミスト (@kmasato_economy) December 15, 2025
この言葉は、育児休業を取得した後、復帰せずに退職する行為を指す俗称。
「育児のための制度を利用しているだけなのに“もらい逃げ”と呼ばれるのはおかしい」という声もありますよね。
一方で、「制度を悪用して給付金だけもらって辞めるのは不誠実では?」という企業側や職場の同僚の意見も見かけます。
では、この“育休もらい逃げ”は法律的に問題ないのでしょうか?
結論から言うと、違法とまではいえません。
結論はシンプル。
育休の取得と、退職するかどうかは法律上は切り分けて考える必要があります。
日本の労働法において、育児休業の取得は労働者の権利として認められています。
条件を満たせば、正社員だけでなく契約社員やパートタイマーでも育休を取得でき、休業中は育児休業給付金が雇用保険から支給されます。
そして、育休取得後に退職すること自体は、法律上ただちに問題になるものではありません。
退職の自由が認められているため、「育休後すぐに辞めるから違法だ」という主張は一般に成立しにくいでしょう。
とはいえ、会社や上司の立場から見ると、育休を認めた直後に退職されると業務調整や人員配置の負担が一気にのしかかるのも事実です。
特に中小企業では、1人欠けただけで業務が回らなくなるケースもあると聞きます。
その結果として、「初めから辞めるつもりだったのでは?」と疑われてしまうのでしょうか。
さらに「給付金だけもらって逃げたのでは?」という見方が重なり、“もらい逃げ”というレッテルが貼られてしまうことがあります。
『育休もらい逃げ』
僕は良い事だと思う
これをされて怒っている会社は
それだけの価値しかなかったって事だからねそうされたくなったからそれだけの価値を提供し
社員にまた戻りたい職場と思われないといけないねこれに怒ってる会社は女性のデートで奢った後に
見返りを求めるダサい男感がする pic.twitter.com/6jXFoYXwK9— ぱんた (@panta0427007) December 15, 2025
ただ、育児は一時的な出来事ではなく、出産後の生活や環境の変化に合わせて進路を見直すのは自然な流れでもあります。
復帰予定だったとしても、子どもの健康状態や保育園の空き状況、家族のサポート体制などで、退職を選ばざるを得ない場合は少なくありません。
「続けたい気持ちはあるのに、現実が追いつかない」という状況も起こり得るわけです。
私のまわりでもよく聞く話なんです。
出産直後に将来を完璧に設計するのは難しい現実。
本来、育児休業制度は子育てと仕事の両立を支えるための制度です。
その利用後に退職するかどうかは個人の判断であり、状況が変われば選択が変わるのも不思議ではないと言い切っていいでしょう。
だからこそ、「制度の趣旨」と「職場の運用負担」のズレが、問題の火種になっているのではないでしょうか?
育休手当と社会保険料免除額
育児休業給付金は、雇用保険から支給される制度で、休業開始から180日間は月収の67%、181日目以降は50%が非課税で支給されます。
実はこの「非課税」というのが大きなポイントで、所得税などが引かれない分、額面の数字以上に家計を助けてくれるんです。
なぜ67%という数字なのかというと、非課税メリットを加味することで、休業前の手取り賃金の約8割をカバーできるように設計されているからなんですよ。
たとえば、年収400万円(月収約33.3万円)の場合、最初の6か月は月約22.3万円、以降は月約16.7万円が受け取れる計算になります。
具体的に想像してみてください。毎月の給料日と同じタイミングで、働いていなくても口座に20万円以上が振り込まれる安心感は、オムツ代やミルク代がかさむ時期には何よりの支えになるでしょう。
1年間の育休を取得した場合、総額で約240万円(22.3万円×6か月+16.7万円×6か月)が給付される計算。
さらに、育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)が全額免除されるのをご存知でしたか?
年収400万円の場合、年間約60万円の負担が軽減されます(厚生労働省『令和5年度雇用保険料率』に基づく試算)。
特筆すべきは、この免除期間中も「保険料を納めた」とみなされ、将来受け取る年金額が減らないという点です。
つまり、給付金と免除額を合わせると、1年で約300万円の経済的メリットが生じ、手取りベースでは働いている時とほぼ変わらない水準を維持可能なんです。
ただし、ここで一つ盲点があります。
給付金の初回振込は申請から数ヶ月後になることが多く、その間は無収入になるため、当面の生活費として貯蓄を取り崩す覚悟が必要かもしれません。
また、住民税は「前年の所得」に対して課税されるため、育休中であっても支払通知書が届く可能性があり、その分の支払いは発生することを忘れないでくださいね。
この住民税が結構デカいんだよね!
この制度は特に、出産後の経済的負担を軽減し、育児に専念できる環境を整えるために設計されています。
- 育休給付金は月収の50~67%が支給
- 年収400万円なら年間約240万円受給
- 社保免除で約60万円の負担減!
失業給付を受給する裏ワザ
育休後に退職する場合でも、失業保険(基本手当)を受け取る方法があるのはご存知でしょうか。
これは決してズルではなく、長年雇用保険料を真面目に納めてきた労働者に認められた、正当なセーフティーネットだと言えます。
育休中は雇用保険の受給期間延長手続きを行うことで、退職後に失業給付を請求することが可能です。
自己都合退職の場合、通常は2~3か月の給付制限期間がありますが、育児などの正当な理由があれば『特定理由離職者』として制限が免除されるケースがあるんです(厚生労働省『雇用保険の基本手当』)。
実際に手続きする場面を思い浮かべてみましょう。
離職票を持ってハローワークの窓口へ行き、「認可保育園に落ちてしまい、復職したくてもできませんでした」という不承諾通知書などの証拠を提示することで、スムーズに受給へ繋がるかもしれません。
年収400万円の場合、失業給付は1日あたり約6,000円(月収の50~80%)で、90日間受給すると約54万円が支給される計算になります。
もし早期に再就職が決まれば「再就職手当」として残りの給付分の一部を受け取れる制度もあるため、早く復帰できたとしても損はありません。
ただし、受給にはハローワークでの求職活動実績(月2回以上の相談やセミナー参加)が必須であり、不正受給(求職意志がないのに申請する行為)は違法です。
さらに注意が必要なのは、「すぐに働ける状態」であること。
つまり、子供の預け先が決まっていないと「求職活動ができない」とみなされ、給付を受けられないリスクがあることも頭に入れておく必要があります。
こんなこと言ったら炎上しそうだけど、
産休育休後に時短とかでも復帰して保育園からの急な呼び出し等で早退する人に対してじゃあ辞めればいいのにとか言うくせに、
今度は育休後に辞めたり転職したりする人に対しては育休もらい逃げっていうのね😮💨じゃあどうしろと😮💨— めろ☺︎2y🎀@2人目妊活 (@__meru22) December 15, 2025
また、失業給付の日額が高い場合、配偶者の扶養から外れなくてはならないケースもあるため、世帯全体での手取り計算も欠かせませんよ。
制度を正しく活用するためには、退職前にハローワークで手続きの詳細を確認することが重要になってきます。
- 育休後の退職でも失業保険を受給可能
- 受給期間の延長を忘れずに申請!
- 不正受給は絶対にNG!
最も得する退職日の設定
退職日を戦略的に決めることで、経済的損失を最小限に抑えることができるのをご存知ですか?
まず、ボーナス支給日を確認し、支給後に退職することで収入を最大化できます。
なぜなら、会社によっては「支給日に在籍していること」だけでなく、「支給決定日(査定期間末日)に在籍していること」などを細かく規定している場合があるからです。
また、就業規則によっては「退職予定者には賞与を減額する」という条項が含まれていることもあるため、事前にこっそり確認しておくのが賢明でしょう。
次に、社会保険料は月末時点で在籍している場合に翌月分が徴収されるため、月末退職が免除の観点で有利です。
また、有給休暇が残っている場合、育休終了後に有給を全て消化してから退職する『フルコース』を選択すると、給与を受け取りながら休めるためお得になります。
この期間も「勤続年数」としてカウントされる場合、退職金の算定額がわずかにアップする可能性すらあるんです。
最終出社日から逆算して有給を当てはめ、さらに業務の引き継ぎ期間も確保するとなると、意外とパズルにように複雑なスケジュール調整が必要になるかもしれません。
たとえば、年収400万円で有給20日残っている場合、約26万円分(1日約1.3万円)の収入が確保できます。
さらに、退職後は住民税が普通徴収(自分で納付)に切り替わるため、納税タイミングや分割払いの手続きを確認しておくことが重要です(国税庁『住民税の徴収方法』)。
最後に、金銭的な損得だけでなく、円満退職を心がけるのも大切。
たとえ結果的に退職することになったとしても、「復帰に向けて努力したが難しかった」という姿勢を見せることで、会社側との無用な摩擦を避けられるはずです。
退職日が1日ずれるだけで会社との関係がこじれることもあるため、事前の相談は丁寧に行いましょう。
これらの工夫で、経済的メリットを最大限に引き出すことが可能になりますよ。
