2025年11月、高市早苗首相が国会で行った「台湾有事は存立危機事態に該当する可能性がある」との発言が、波紋を広げています。
中国はこの発言に対し「内政干渉だ」と強く反発し、外交ルートでの抗議に加え、日本産水産物の輸入停止や中国人観光客の渡航自粛、多国間イベントの延期など、報復措置を次々と発動しました。
どういうこと?
Q.もし、台湾で戦争が起きたら日本はどうするの?
A.中国が武力で攻め込んだら、それは「存立危機事態に該当する可能性」がある
「存立危機事態」ってどんな状態?
日本が国として成り立たなくなるくらいヤバい非常事態のこと!
(場合によっては、日本も戦争に参加する)
この発言を受けて、日中関係は急速に悪化。
外交・経済・安全保障の各方面で緊張が高まっています。
高市早苗首相は台湾問題で中国を「挑発」しているのではない―戦争を抑止しているのだ。宥和ではなく、強さによる平和を。DeepL is my friend. pic.twitter.com/7Ntam3m8lH
— Andreas Fulda 🇺🇦 🇹🇼 (@AMFChina) November 22, 2025
本記事では、高市首相の発言の背景、中国の怒りの理由、そして今後の日中関係への影響までを、最新情報をもとに詳しく解説します。
中国が高市発言に激しく反発した理由
2025年11月、高市早苗首相が国会答弁で「台湾有事は存立危機事態に該当する可能性がある」と発言したことで、中国が激しい反発を示しました。
SNSでもニュースでも取り上げられ、「なぜここまで怒るのか?」と多くの人が疑問に思ったのではないでしょうか。
その背景には、中国の「絶対に譲れない一線」ともいえる台湾問題の存在があります。
中国政府にとって台湾は「核心的利益」に位置づけられており、習近平政権は国家の悲願として「台湾統一」を掲げ続けています。
そこへ、隣国である日本の首相が軍事関与を示唆するような発言をすれば、中国としては強い警戒と怒りを示すのは当然の流れとも言えます。
また、2025年というタイミングも、中国側の対応をより強硬にさせた理由の一つです。
中国では「抗日戦争勝利80周年」を記念する動きがあり、国内のナショナリズムが高まりやすい時期でした。
一方で、台湾側では「台湾光復80周年」という見方もあり、歴史的な節目としての意識が交差していたのです。
こうしたセンシティブな年に、日本の首相があえて台湾情勢に踏み込んだ発言をしたことで、中国側は「このままではメンツを失う」と感じた可能性があります。
中国の反応は単なる外交的抗議にとどまりませんでした。
駐日中国大使館による正式な抗議に加えて、Xでは中国・大阪総領事が「首を斬る」と投稿。
これは、いくらなんでもアウトじゃないかな…
これは国際外交の常識から見ても極めて異例で、海外メディアでも衝撃とともに報じられました。
こうした過激な反応の裏には、中国政府の国内事情も関係しています。
台湾統一の問題は、習近平体制にとって政権維持のシンボル的存在。
外からの挑発を黙認すれば、国民の不満や不信を招きかねません。
だからこそ「激怒する構造」が最初から用意されていたとも言えるのです。
加えて、アメリカと中国の対立が深まる中で、中国は「日本もアメリカ寄りの態度を強めている」と見ています。
そのため、高市氏の発言が「軍事的な包囲網の一端」と映った可能性も高いでしょう。
要するに、中国の反応は感情的なものではなく、「戦略的に怒った」という側面が色濃く見えます。
対外的には日本への牽制、国内的には政権の正当性をアピールする。
そんな“政治的パフォーマンス”としての役割も果たしているのです。
中国の具体的な報復措置とは?
高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に対し、中国はただちに複数の“報復措置”を講じました。
「中国が怒っている」とのニュースが広がる中、では実際にどのような対応が取られたのか?
その内容を見ていくと、外交的な警告にとどまらず、すでに“経済制裁”とも言えるレベルに達しています。
まず最初に明らかになったのが、中国外務省と在日中国大使館による渡航自粛の呼びかけです。
2025年11月、中国政府は自国民に対し「日本への渡航は控えるように」と異例の勧告を出しました。
発端となったのは、高市氏による「存立危機事態に該当する可能性がある」という国会での発言。
中国側はこれを「挑発的かつ危険な発言」と位置づけ、安全上の理由で日本行きを控えるよう警戒を促したのです。
この通知に応じて、中国国際航空や中国東方航空などの主要航空会社は、日本行き航空券のキャンセル料を免除する措置を導入しました。
事実上、「日本旅行キャンセルを推奨する制度」とも言えるこの対応は、中国人観光客の訪日を一気に冷え込ませる効果を持っています。
特に北海道や関西圏では、中国人観光客に大きく依存していた宿泊施設や免税店などが、急激な打撃を受けているとの声も上がっています。
次に実施されたのが、日本産水産物に対する輸入停止措置の再発動です。
中国は2023年、福島第一原発の処理水放出を理由に、日本の水産物の輸入を全面的にストップさせていました。
その後、2025年6月には、福島や東京など10都県を除く地域の水産物について輸入再開が発表され、ようやく水産業界にも明るい兆しが見え始めていたのです。
特に、北海道産の冷凍ホタテは再び中国市場に輸出され始め、多くの業者が「ここから巻き返しだ」と期待していた矢先の“逆風”でした。
今回の再停止により、日本側の輸出関連施設は「再登録」の手続きを踏む必要がありますが、中国政府はその申請受付自体を凍結。
つまり、日本側が輸出を再開したくても、制度上のハードルによって封じ込められている状態。
さらに、日本産牛肉の輸出再開に向けた政府間協議も中断されました。
こちらは長年の課題であり、ようやく再開の兆しが見え始めていた最中だっただけに、関係者の落胆は大きいようです。
「中国市場を見越して投資していたのに…」という声も現場からは上がっています。
このように、中国の報復措置は「外交的メッセージ」にとどまらず、明確に日本の経済に影響を及ぼす方向で実施されています。
とりわけ観光と水産業という、地方経済を支える2大分野が狙われている点が特徴です。
SNSや国営メディアでは、中国政府の対応に対し「毅然とした態度だ」「主権を守る姿勢を評価する」といった声も多く、中国国内では正当化されている印象です。
一方で、日本政府は冷静に対応しており、水産物の輸入停止に対しては「安全性を科学的に説明し、粘り強く対話を続ける」との姿勢を保っています。
さらに、日中のイベント延期、中止に。
ゆずのアジア全公演中止などエンタメ業界に大打撃が。
しかし、このような“見えない制裁”が長期化すれば、影響はじわじわと広がっていくことが予想されます。
今後、中国がさらなる報復措置に出る可能性もゼロではありません。
レアアースの輸出制限や投資規制など、新たな圧力が加わる日が来るのか。
“第2波”の到来に備え、引き続き動向を注視する必要がありそうです。
- 日本産水産物の輸入停止
- 中国人観光客の渡航自粛
- 多国間イベントの延期など
高市発言に対する日本国内と台湾の反応
高市早苗首相による「台湾有事は存立危機事態に該当する可能性がある」という国会答弁は、外交面にとどまらず、国内外に大きな波紋を呼びました。
では実際、日本と台湾ではどのような反応があったのでしょうか?
中国のように一方的な非難ではなく、評価は賛否が分かれる形となりました。
日本国内の反応
SNSや一部メディアでは、「ようやく日本の首相が踏み込んだ発言をした」として、歓迎する声が見られました。
「あいまい戦略では通用しない」「現実的な対応が必要だ」といった、安全保障を重視する層からの支持も目立ちます。
特に保守層や有識者の間では、「毅然としたリーダーシップ」として評価される傾向が強いようです。
その一方で、慎重論も根強く存在しています。
「中国をいたずらに刺激すべきではない」「経済的なダメージが心配だ」という声が、経済界や中道層を中心に上がりました。
実際、水産業や観光業には早くも影響が出始めており、「政治判断が民間に負担をかけるのでは」との懸念もあります。
とはいえ、興味深いのは世論調査報道の傾向です。
発言後も高市首相の支持率は80%超と報じられており、多くの国民が強気な姿勢を一定程度評価している様子がうかがえます。
これは、中国の強硬対応に対する反発や、日本の安全保障への関心の高まりを反映したものとも考えられます。
台湾の反応は?
台湾国内でも、与党・民進党系からは「日本の立場表明は心強い」として、高市氏の発言を評価する声が上がっています。
特に、台湾有事が現実味を帯びる中で、周辺国が明確な態度を示すことは抑止力につながるという考え方も根強いです。
しかし、すべての台湾人が歓迎しているわけではありません。
野党・国民党などの親中派は「日本の軍国主義的発言だ」として厳しく批判。
馬英九元総統は「台湾問題は両岸で話し合うべきで、外国の介入は望ましくない」と述べ、洪秀柱氏も「日本は軍事衝突を煽っている」と非難しました。
台湾の一般市民の反応も分かれています。
「日本が味方になってくれそうで安心」という声がある一方、「かえって中国の標的になるのでは?」と不安を感じる声も多く聞かれます。
現地メディアのコメント欄などには、「日本の発言で緊張が高まったら困る」という複雑な本音が散見されました。
このように、日本国内でも台湾でも、高市発言に対する反応は一枚岩ではありません。
「支持と不安」「期待と懸念」が入り混じる中で、それぞれの立場からの見方が表面化した形です。
高市氏の発言は、単なる政治的メッセージではなく、東アジア全体の安定や安全保障に関わる大きな意味を持つものとして受け止められています。
今後の日中関係はどうなる?
高市早苗首相による台湾有事に関する発言をきっかけに、中国との関係が一気に冷え込んだ日本。
今後、日中関係はどうなっていくのでしょうか? 一時的な衝突で終わるのか、それとも長期的な対立の幕開けなのか――。
不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
まず注目すべきは、今回の事態がこれまでの摩擦と違い、「安全保障」と「経済制裁」という二正面で緊張が走っている点です。
従来、日中の対立は尖閣諸島や歴史認識など“象徴的な摩擦”が中心でしたが、今回は中国が日本の経済活動にも直接圧力をかけ始めているのが特徴です。
水産物輸出の停止、観光客の渡航自粛、牛肉協議の停止――これらは単なる外交パフォーマンスではなく、日常生活に影響を及ぼす現実的な一手です。
しかも、この関係悪化は偶発的ではありません。
高市首相の発言前、2025年10月には中国・習近平国家主席と高市首相がAPEC首脳会議で初めて顔を合わせ、「戦略的互恵関係」の推進で一致したばかりでした。
さらには、日本人向けビザの優遇措置やホタテの輸出再開など、改善ムードすら漂っていたのです。
それがわずか1週間で崩れ去った――
この落差は、日中関係の「脆さ」を浮き彫りにしています。
さらに懸念されるのが、今後の報復カードの存在です。
例えば、中国がレアアースなどの希少資源に規制をかけるような事態になれば、日本の製造業、とくに自動車や半導体業界に深刻な影響を与えかねません。
これは過去にも起きた前例があり、「経済で殴り返す」という手段が中国の常套手段になっているのです。
一方で、日本政府の対応は抑制的です。
木原官房長官は冷静に「輸出の円滑化を中国に働きかけていく」と述べ、過剰な反応を避けようとする姿勢が見られます。
政府関係者の中には「特定の事象と結びつけず、あくまで冷静に事態を処理すべき」との意見もあるようです。
ただ、こうした“静かな対応”が、国民の不安感や苛立ちと乖離してしまうリスクも孕んでいます。
また、日本と中国の“板挟み”となるのがアメリカの存在です。
日本は米中両国と経済的・安全保障的な関係を持つ中で、どちらかに大きく傾けば必ずしわ寄せが来ます。
今回の発言も、事実上「アメリカ側に寄った」と中国が受け取ったことで、一気に対立構造が明確化しました。
では、この緊張はいつまで続くのか?
一部の外交関係者は、「関係の正常化には4〜5年はかかる」と見ており、短期間での改善は期待しづらいのが現実です。
その間、日本企業や地方自治体がどのように中国との関係を調整していくのかが、大きな課題となるでしょう。
今後の展望としては、「原則を守りつつも対話を続ける」というバランス外交が求められます。
ただし、それには日本側が一枚岩となって冷静な戦略を持つ必要があります。
感情論だけで動けば、外交はたちまち行き詰まり、経済的損失も避けられません。
今回の一件は、単なる“言葉の応酬”ではなく、東アジアにおける新たな地政学的リアリティを示した事件とも言えるのです。
2025年は、今後の日本外交を大きく左右する分岐点となるかもしれません。
まとめ
高市早苗首相の台湾有事に関する発言。
これが日本の安全保障における“必要な覚悟”なのか、それとも外交的な火種だったのか。
「台湾有事は存立危機事態に該当する可能性がある」。
この発言は、日本がこれまで採ってきた「あいまい戦略」とは明らかに異なる強いメッセージでした。
歴代政権が避けてきた台湾問題に踏み込み、日本の立場をはっきりさせた格好です。
背景にあるのは、日本が台湾海峡と深くつながっているという現実です。
台湾で有事が起きれば、日本の海上交通路が遮断され、エネルギーや物流は直接的な影響を受けます。
つまり、台湾の安定は“日本の生活を守る問題”でもあるのです。
この現実を踏まえると、高市氏が「想定外を想定せよ」と警鐘を鳴らしたとも受け取れます。
発言の真価は内容そのものより、「国として備える姿勢をどう示すか」という点にあったのかもしれません。
しかし外交面では、負の反応も見逃せません。
発言直後、中国は一部の日本産水産物の輸入を再び停止し、さらに中国人観光客の渡航を控えるよう呼びかけるなど、強硬措置を次々に発表しました。
影響は地方経済に広がり、「強い言葉の裏にはそれ相応の代償がある」と感じた人も多いでしょう。
台湾でも反応は割れました。
「日本の姿勢は心強い」と歓迎する声がある一方で、「余計な刺激は危険だ」と懸念する意見も根強いままです。
たったひと言の発言が、地域全体の緊張感を跳ね上げる――それが今回改めて突きつけられた現実でした。
重要なのは、「発言が正しかったかどうか」を即断することではありません。
タイミングや外交的な調整の有無など、複数の要因が絡み合っています。
もし事前に中国側との意図確認や外交的フォローがあれば、ここまで対立が激化しなかった可能性もあります。
とはいえ、リスクを恐れて意見を封じれば、日本の存在感は国際社会で薄れてしまう。
「言うべきことは言うべきだ」という考え方にも、一定の説得力があります。
とくに安全保障に敏感な層や若い世代からは、今回の姿勢を評価する声も少なくありません。
最終的に、この発言が正しかったと言えるかどうか。
それを決めるのは、これからの日本の外交の積み重ねと結果です。
言葉が現実となってしまう前に、どれだけ対話を重ね、どこまで備えを進められるのか。
2025年の今回の出来事は、日本にとって曖昧さの終わりと覚悟のはじまりを象徴する転換点になるかもしれません。

